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【No.14】 検出されないこと

基準値が“検出されないこと”はゼロということですか?

A:公定法・指定法の定量限界未満の場合に“検出されないこと”となっています。

環境基準や排水基準には基準値が“検出されないこと”という項目があります。これらは備考に「その結果が当該検定方法の定量限界を下回ることをいう。」などと書かれています。例えばアルキル水銀の場合、公定法として“昭和46年12月環境庁告示59号付表2”及び“昭和49年9月環境庁告示64号付表3”が定められていますが、その定量限界は“0.0005mg/L”と示されています。

実際の化学分析の定量限界はサンプルの量や性状、試薬や水の純度、測定機器の感度などにより決まります。アルキル水銀もサンプル量を増やしたり、ガスクロマトグラフ質量分析法を用いることでさらに低い濃度まで定量可能です。しかしある排水サンプルのアルキル水銀濃度が0.0001mg/Lであったとしても、公定法に従うと0.0005mg/L未満であり“検出されない(不検出)”となります。

つまり基準値における“検出されないこと”は科学的な意味合いよりも、法律的な意味合いが強いものです。ちなみに“検出されないこと”という基準が設定された理由としては、「より低い基準値が望ましいが、一般的な分析技術ではその数値まで分析できない。」といったケースが多いです。今後、より高度な分析技術が普及することにより検出限界は下げられるかもしれません。

一方、規制基準が“検出されないこと”なのに、分析方法の定量範囲が示されていない場合や、公定法自体がない場合もあります。例えば橋梁などの塗膜のケースです。

塗膜に鉛が含まれている場合、労働安全衛生法の規制対象となりますが、令和元年現在は厚生労働省から分析方法や定量限界は示されておりません。そのため分析機関によって定量限界が異なっており、規制対象となるかどうかの判断にばらつきが生じています。

塗膜にPCBが含まれている場合、塗膜の廃棄物の種類を廃プラスチックと捉えるか、汚泥と捉えるかで判断基準や分析方法が異なります。(塗膜における廃棄物の種類は剥離方法や排出された廃棄物の混合割合等をもって総合的に判断されます。)
例えば廃プラスチックの場合、判断基準は“PCBが付着していないこと”であり、自治体により定量限界の判断が分かれるなど混乱を生じていました。そのため平成31年3月に環境省よりPCBについての該当性判断基準が示され、判断基準や分析方法が整理されました。

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