有害物を扱っていない部屋なのに従業員が眼の痛みを訴える。原因を調査して欲しい。
●問題の部屋では酸・アルカリ・その他の薬品は一切使用していない。
●別の部屋では酸・アルカリを使用しているが被害は生じていない。
●被害が発生するタイミングが不規則。
まずは従業員の方々への聞き取り調査を行い、症状の発生状況を精査しました。
続いて、 “目が痛い” という症状や他の部屋での薬剤使用状況を参考に原因物質の絞り込みを行い、あやしいと思われる物質のモニタリング及びサンプリングを行いました。
調査の結果、次の3点が明らかになりました。
1.室内の粉じん濃度が大きく変動しており、粉じん濃度と従業員の方々の症状発生が一致していること。
2.粉じんは炭酸ナトリウム Na2CO3 であること。
3.天井裏に炭酸ナトリウム粉じんが堆積していること。
炭酸ナトリウムはアルカリ性であり少量でも眼の痛みを引き起こすうえに、風解性があり発じんしやすい物質です。
天井裏の粉じんは、別の部屋で使用している水酸化ナトリウム NaOH の一部が炭酸ナトリウム粉じんに変質し、長い時間をかけて堆積したものと考えられます。
この粉じんが温湿度や気流の変動によって時折舞い上がり、問題の部屋に被害を引き起こしていたと判明しました。
炭酸ナトリウムは “毒物及び劇物取締法” や “労働安全衛生法” 等の法規制対象になっていませんが、ミヤマではこの様な法規制対象外の物質でも調査・評価を行っています。
蛍光X線分析(XRF) X線回折分析(XRD) 粉じん濃度モニタリング 他