ホーム > 原因究明事例 > 【CASE 12】 排水管のスライム

【CASE 12】 排水管のスライム

お悩み

工場の排水処理設備の配管などにスライム状の付着物が発生し詰まってしまう様になった。付着物の正体と原因を知りたい。

ご依頼状況

●付着物は白濁しており、スライム状でヌメリがある。

●秋口くらいから付着物が増え始め、冬場にはスクリーンが閉塞してしまうくらいになった。

●工場ではセラミックの加工を行っている。生産量や生産工程などに大きな変更はない。

●排水処理後の放流水には水質悪化などの問題は起きていない。

●サンプルとして付着物、処理前の原水などを提供いただいた。

●情報としてセラミック原料・使用薬品の製品データシート(SDS)、排水処理設備のフロー図をご提供いただいた。

究明開始

まずは蛍光X線分析※1にて付着物と原水中の固形分の元素組成を調べました。

元素組成より原水中の固形分はほぼセラミック原料由来と分かりましたが、付着物中に含まれるセラミック原料は1/3程度であり、大半は炭素や窒素といった有機物を構成するような元素でした。

スライム状の有機物ということでバイオフィルム※2ではないかとあたりをつけ、付着物を光学顕微鏡で観察してみました・・・

※1 蛍光X線分析:X線を照射して元素組成(種類や量)を調べる分析。

※2 バイオフィルム:微生物が集まってできた膜。身の回りのバイオフィルムとして歯についた歯垢や台所のヌメリなどがある。

原因はコレだ!

顕微鏡で観察したところ、付着物に繊維状の組織があることが確認できました。

この繊維状の組織は「糸状菌」と呼ばれる微生物群のコロニーであり、付着物は糸状菌のコロニーにセラミック粒子が取り込まれたものと判定しました。

お客様に「付着物は微生物が原因」とお伝えしたところ、「なぜ急に増加したのか?」「有害性はあるのか?」といった疑問を頂きましたので糸状菌の種類を同定することとしました。

糸状菌は汚水を生物処理法の一つである活性汚泥法において問題となるケースが多いため、活性汚泥槽の糸状菌は良く調べられており、顕微鏡による種類の同定方法も充実しています。そこでまず代表的な「Eikelboomによる分類」を試みましたが同定には至りませんでした。

次の手としてDNA同定試験※3を試みました。DNA同定試験により糸状菌を種のレベルまで同定することができました。糸状菌の種類まで同定できたことにより、その糸状菌の生育条件(温度・pH・酸素濃度・塩濃度など)を踏まえたスライム発生防除対策をとることができました。

※3 DNA同定試験:微生物からDNAを抽出しその塩基配列をライブラリと比較することで微生物の属や種を同定する方法。

今回の検査・分析項目

蛍光X線分析 顕微鏡観察 糸状菌同定(Eikelboomによる分類) 微生物DNA同定試験

ページの先頭へ