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【CASE 10】 燃えたものは何だ?

お悩み

設備の高温部分に黒いススの様なものが付着していた。これは一体なんでしょうか?ススだとしたら何が燃えたものでしょうか?

ご依頼状況

●ある設備の高温部分(金属配管)に黒いものが付着しているのが見つかった。

●一見ススの様にも見えるが何が燃えたのか見当がつかない。

●サンプルは微量(耳かき1杯くらい)しか採取できなかった。

究明開始

まずはスス=炭素であることを確認するために、あたり付けの分析を行いました。

サンプルが微量であるため、あたり付け分析の条件として「非破壊分析であること」、「必要サンプル量が少量ですむこと」を要しました。そこでこれらの条件を満たす分析である、蛍光X線分析(SEM-EDX)※1、FTIR分析(顕微)※2、ラマン分光分析(顕微)※3の3分析にてあたり付けを行いました。

元素組成(蛍光X線分析)、赤外吸収スペクトル(FTIR分析)、ラマンスペクトル(ラマン分光分析)の結果はいずれも “無定形炭素” であること示していました。無定形炭素とはダイヤモンドでもグラファイトでもない炭素のことであり、ススも無定形炭素のひとつです。

付着物はススと分かりましたが、何が燃えたかに関しての情報は得られませんでした。

そこでサンプルを加熱した際に追い出されてくる有機物をGC-MS分析※4することにしました。なおこの手法は火災現場などでも原因究明に用いられています。

※1 蛍光X線分析:X線を照射して元素組成(種類や量)を調べる分析。

※2 FTIR分析:フーリエ変換赤外分光分析。分子が特定の赤外線を吸収する性質を利用して物質(主に有機物)の同定等を行う分析。

※3 ラマン分光分析:ラマン効果(ラマン散乱)という原理を利用して物質の同定等を行う分析。

※4 GC-MS分析:有機溶剤などの有機物を分離・同定できる分析。

原因はコレだ!

サンプルから熱により追い出されてきた物質の中に “レボグルコセノン” という物質が確認できました。この物質はセルロースの熱分解物の一つとされていますので、黒いススの様なものは「セルロース製の何か」が燃えたものであると推察できました。

また蛍光X線分析では、炭素以外にケイ素やマグネシウムを多く含んだ粒子が確認されていました。ケイ素やマグネシウムを多く含んだ粒子は、元素の比率から シリカ SiO2 とタルク Mg3Si4O10(OH)2 であることが分かりました。ちなみにシリカやタルクの粒子は本来は白色です。

「セルロース製の何か」で「シリカやタルク」を含むものといえば紙が挙げられます。紙の中には填料としてシリカやタルクなどが混ぜられているものがあります。色々な紙の填料を調べ比較することで「燃えたもの」が「ある紙」であることを突き止めることができました。

ミヤマでは付着物や異物等の不明物分析を行っております。本件の様に「耳かき1杯」のサンプル量でもその正体を突き止めることも可能です。何かお困りのことがございましたらぜひご相談ください。

 

関連情報
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今回の検査・分析項目

蛍光X線分析(SEM-EDX) FTIR分析(顕微) ラマン分光分析(顕微) 加熱脱着-GC/MS分析

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